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その赤いワンピースからポタポタと、真っ赤な水が滴り落ちる。
車のライトに照らされて、地面に弾けたその水が見えた。
いや、それは水ではない。
「まさか、あれって…」
後ろから比古の怯えた声が聞こえてきて、夕斗はそれに頷いた。
「ああ…多分……」
ピタ…ピタ……。
生ぬるい音が地面に落ちる。
――血…。
女が纏っていたのは赤いワンピースではなかった。
所々白い生地が覗いていることを考えると、もともとは白いワンピースだったのだろう。
それがわかりにくくなるほどに、白は赤に浸食(しんしょく)されていた。
夕斗たちが固唾を飲んで見守る中、宮原は「なるほど」と呟く。
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