転校生と幽霊トンネル

49/50
3266人が本棚に入れています
本棚に追加
/2509ページ
《っ…―――――っ!》 トンネル全体を揺るがすほどの、女の絶叫が響き渡った。 その声は夕斗と比古だけでなく、霊感のない剣悟の耳にまで突き刺さる。 車に残された3人は耳を塞ぎ目をつぶった。 やがて叫びが消えた時、夕斗はフロントガラスの向こうを見る。 そこには綺麗に着地した煉夜と、その頭を撫でている宮原の姿があった。 やがて煉夜の姿は影となって地面に溶け込み、宮原は夕斗たちのもとへと踵(きびす)を返す。 そのまま葬式に行けそうな漆黒のパンツスーツを身に纏っている彼女は落ちていた剣悟の竹刀を拾うと、カツカツとヒールを鳴らして車に戻ってきた。 圧倒的な力を見せつけられた夕斗たちは、もう茫然とそれを見ているしかない。
/2509ページ

最初のコメントを投稿しよう!