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《っ…―――――っ!》
トンネル全体を揺るがすほどの、女の絶叫が響き渡った。
その声は夕斗と比古だけでなく、霊感のない剣悟の耳にまで突き刺さる。
車に残された3人は耳を塞ぎ目をつぶった。
やがて叫びが消えた時、夕斗はフロントガラスの向こうを見る。
そこには綺麗に着地した煉夜と、その頭を撫でている宮原の姿があった。
やがて煉夜の姿は影となって地面に溶け込み、宮原は夕斗たちのもとへと踵(きびす)を返す。
そのまま葬式に行けそうな漆黒のパンツスーツを身に纏っている彼女は落ちていた剣悟の竹刀を拾うと、カツカツとヒールを鳴らして車に戻ってきた。
圧倒的な力を見せつけられた夕斗たちは、もう茫然とそれを見ているしかない。
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