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冬の空、空気が キィン と澄んでいて…雲のない、暗い群青色の……
「星キレ―…」
無数の星。
外灯の所為でこんなに夜が明るいにも関わらず肉眼で確認できるほどの…小さな光。
殆ど見えない、淡い光として見えるかどうかも怪しいものも…其処に在るということだけは確信がある。
「……っ、ぁ…!」
鼻の頭がジィン、と熱く痛み、胸から嗚咽が湧き起こる。
何がなんだかわからないのに…
嗚咽が止まらない。
「う……あぁ………っ!」
胸を掻き毟っても、頭を抱えても、顔を覆っても手をきつく握ってみても…っ…もどかしくて、堪らない。
ふとこの惑星(ホシ)に生まれ生きている意味を考えた。
人間がこのホシにとってどれだけ小さくてどれだけ必要のないものか…―
考えながら…甚だ身の程をわきまえていない、その思考のスケールの大きさに自嘲じみた笑いも込み上げてくるのだけれど。
「ぅ、あ…ああ゛ぁ…っひ、ぐ、あッァ゛…!」
止まらない、止まらない。
こんな真夜中…ナントカ流星群とかにつられて。
星なんて、空なんて見に出なければよかった。
バカみたい…
「誰だ…?」
「っ!?」
こんな夜中に、お前が誰だ なんて思ったけど…声になんてならなかった。
低く、決して大きな声じゃない…寧ろ呟くように発せられたその声は鼓膜にその響きを遺していって。
ジャリ と地面を踏みつける音が段々と近づいてくる。
顔は上げられない。
「泣いてたのか?」
その問いに首を縦に振ることも横に振ることも憚られて、ずっと俯いたまま…ずるずるとしゃがみこんだ。
しばらくの沈黙。
何の音もしないけど、近くにいることはわかる。
第一、去っていく音が聞こえない…
「…あ、流れ星。」
「えっ…」
思わず空を見上げると、またひとつ、またひとつと星が零れていく。
星にみとれて、少し時間が経ってからだった。
私に声をかけた男性がいなくなっていることに気付いたのは。
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