序章

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☆ ☆ ☆ ☆ ☆  「――であるからしてこの学校の校風としては…………」  ここは魔法世界にある数多の学校の一つ『桐魔学園』  今はちょうど記念すべき開校百周年目の入学式。  少々年のいった女校長も心なしか張り切っていつもの決まり文句を話している。  ずらっと並んだ椅子に座りながら今後の学園生活に期待を膨らます新入生。 「…………Zzz」  そのずらっと並んだ椅子の中のちょうど中央部。気持ちよさそうな寝息を立てて唯一寝ている馬鹿。いや、この物語の主人公。立花百花その人である。  只今絶賛熟睡中である。  実はこの男一応初めから寝ていた訳ではない。  司会者の恋峰梓(23)が話していた時は起きていたのだ。それが校長先生藤原千恵子(58)が話し始めたとたん興味がなくなり、徐々に意識がスリープダウンといったところだ。  なんとも現金なやつとかいうか、まさに自分に正直に生きている。 「校長先生ありがとうございました。それでは次に生徒会常任試験『生徒会戦争』について私から説明したいと思います」  体育館に響く恋峰先生の声。  それがちょうど百花のところまで来たところで―― 「………………はっ。今の声は麗しき恋峰先生」  さっきまで完全に熟睡していた百花が覚醒する。どんな脳構造をしているのかまったくもって分からないがそれが立花百花という男なのである。気にしたら負けなのである。
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