序章

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「それでは生徒会戦争について説明させていただきます」  司会進行の場所から壇上にあがる恋峰先生。  生徒会戦争と聞いて少々ざわついた新入生が落ち着くのを待ってからゆっくりと話し出す。 「生徒会戦争とは一年に一回、この入学式と同時に行われる試験みたいなもので、この年度の一年生生徒会を決めるための行事です」  これから始まる試験のために真剣に聞くことに集中する新入生。しかし―― 「うん、やはり可愛いな恋峰先生。さすが入学前から俺に期待させていただけある。モデル体型で赤縁メガネ。あれで天然が入ってたら完全に萌だな」  この時点ですでに話を聞いてない馬鹿。ちなみに百花は入学が決まった次の日に、学校事前見学と生し、勝手に校舎に潜り込み先生の年と顔を入念にチェックしていたのだ。  女性の絡むことになると有り余る行動力を発揮する男。  なまじ本人が自分で思っているよりも顔がよいので問題だ。 「それでは生徒会戦争の試験の詳しい説明をしたいと思います。一度しかいわないのでよく聞いてください」  と、恋峰先生が言った瞬間顔が引き締まる百花。どうやら本来の目的を思い出し、この説明だけは真面目に聞こうと心を入れ替えた――はずもなく、 「はいっ。恋峰先生のお願いとあらば」 単に都合のいい解釈をする脳内お花畑野郎だった。  そんな百花には当然構わずに説明は続いていく。 「生徒会戦争はいまから一週間、四つに分けて行います。初日の今日に予選。二日目と三日目に一次試験。四日目と五日目に二次試験。六日目と七日目に三次試験となります。まあ実際はそんなに長くなりませんから余った時間は次の試験の対策や休養に当ててもらって結構です。各試験の内容は前の試験が終了した時点で発表されます。  なお、新入生の皆さんすでに知っていると思いますが、正規生徒会役員になったときの好約については殺人、恋愛強制、死者蘇生、以外のものになります。  それではここまでで何か質問のある生徒はいませんか?」  いったん言葉を切り、周りを見渡す恋峰先生。  そして皆からの質問がないと分かると、その場でにこりと微笑み、こう言った。 「それでは予選の説明をさせていただきます」
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