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と、呟いてみたものの、状況は未だに進展の兆しすら見せていない、という悲惨な現状である。
二人は、会ってから今まで一言二言しか話していないし、俺もほとんど口を動かしていない。
だけどそんな中で、この硬直状態を打破するべく、口を開いた者が一名。正面ソファー前に悠々と立っている、黒髪少女だ。
「確かに、いきなり押し掛けたのは悪かったと思ってるわ。だけど、こっちにもそれなりの理由ってものが……」
「あるのか?」
「……あるわ」
今までは毅然とした態度で話していた黒髪少女だが、急に目が泳ぎ始めた。こりゃ嘘だな。
それより、この黒髪少女も、少女と呼ぶには少し違う気がする。黒髪の少女は、出てるところは出ているし、締まってるところは締まっている。所謂モデル体型だ。
蒼髪の少女とは正反対の体型で並べると親子のようにも見える。
内面的に見ると、どちらも変わらないのかもしれないが。
「……まぁいい。お前ら、いつからこの部屋にいた?」
「んー……。貴方が帰ってくるちょっと前よ」
俺の質問に、一度考えたような素振りをみせると、さらりと返してきた。
人様の家に勝手に上がり込んでおいてこの態度とは。親の顔が見てみたいものだ。
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