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――――――…。
そよそよ…。と、心地いい風が俺の髪を撫でていく
音は無く、また色も無く、今感じるのは風と綺麗な空気だけ…。
そう感じるのは、俺が瞳を綴じているせいか…。
または、本当に無いのかもしれない…。
ふわふわ、ゆらゆら、と体が宙に浮いている感覚でまるで、宛ても無くただ自由に漂っているだけみたいな感覚…。
そして、聞こえた懐かしい蝉の声と花の香り
じっ…、としていれば
懐かしい人の声―――――。
―――陽斗
―――陽斗ってば‥。
―――起きて‥。
――――はると…
その声に吊られて
ゆっくりと綴じていた瞳を開ければ―――
『ゥワァアンッッ!!』
「うわぁっ!!」
真っ白な犬が、俺の目の前にいた
吠えられて、咄嗟に起き上がって声を出す
『―――……』
犬を目の前にして
周りを見渡せば、さっきとは違って真っ白い空間ではなく、空もあるし緑もある
そして、見覚えのある風景――――。
「…ここ」
目の前の犬を見ると
何だか見覚えがあった犬だった…。
「………クゥー?」
そっ…。と確かめる様に、真っ白い犬に呼び掛ければ
目の前にいる犬は
俺の眼を見ながら「クゥー」と鳴いた
、
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