紅蓮12

18/63
前へ
/645ページ
次へ
…やっぱり、クゥーだ クゥーとは俺が小さい頃に、家の敷地に迷い込んで来た真っ白い犬で 世話をしていたら なんだか、懐かれて それからは一緒に遊んでいた クゥーという名前は 鳴き声がクゥーだからだ 俺が日本に行くまではいたんだが、今は何処にいるのかは解らない 『クゥー……』 目の前のクゥーが俺を見つめて鳴く そんなクゥーを撫でようと手を伸ばそうとした時に何処からか声がした 『クゥー?どーこー?』 真っ白い犬を呼ぶ 高くてよく響く声 その声に反応したクゥーは尻尾をパタパタと左右に大きく揺らしながら、その声のした方へ勢い良く走っていった クゥーに触ろうとした俺は、走って行くクゥーを見ながら伸ばしていた手を引っ込めた 手を引っ込めて 声のした方を見てみると 「……俺だ」 さっき真っ白い空間の中にいた、5才の俺が真っ白い犬の戯れていた 幼い俺はクゥーと走り回ったり、クゥーに顔を舐められていたりと何だか大変そうな感じで 『ぁはは、止めてよっ クゥー』 『ワァンッ!』 でも、凄く楽しそうに 笑って走り回ってた そんな様子を遠くから見ていた俺は、地面についていた尻を上げて辺りを見渡す 、
/645ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4560人が本棚に入れています
本棚に追加