紅蓮12

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考えても考えも 答えが出ないから取り敢えず、歩いてみる事にした 一歩踏み出せば、幼い頃に此処で走り回っていた記憶が蘇る 遠くにいる幼い俺はいつの間にか、クゥーと何処かへと消えていて俺一人しか居なくなってしまった でも、なんだか 此処に俺一人という事が、何だか嬉しくて思わず頬が緩んだ イギリスだから当たり前だが、煉瓦の建物に洋風のお屋敷 辺りを見渡せば 遠くの方にイギリスの首都を代表するビック・ベンが見える 良く、ビック・ベンを見ながらロンドンの街を歩いた事もあった そんな事を思い出しながら、桜の木へと歩いて行く 側まで来れば、やっぱり大きく立派で木のいい匂いがする、そんな桜の木に掌で触れれば何とも言えない思いが込み上がる この場所で遊んば事 色々学んだ事 笑い転げた事 一つ一つ思い出してく内に、何かが俺の記憶の中でガキッと引っ掛かった まるで、大事な物を入れて鍵を閉めた抽出(ひきだし)みたいに…。 でも、その抽出の鍵が何処かへと消えてしまったようで、その抽出は鍵が掛かったままで中の物は取出せない 俺の中の記憶の抽出の一部が鍵を無くして、泣いていた 、
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