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┿┿┿┿┿
嘘だと、信じたかった
でも、現実はそうはいかなくて…。
今、起こっている事が本当だという事が胸に突き刺さる
「…今、何時…だっ…」
カレンダーの日付を見て、少々焦りながらも時計を見上げる
カチカチと規則正しく、針を動かすその時計に刻まれている時間―――――。
―――5時15分
その数字を見た途端
俺の中に少し亀裂が走った
目を見開き、その亀裂が何の亀裂かを確かめる
いや…。
確かめる必要なんてないんだ、そんなもの
この亀裂が何の亀裂かなんて、そんなわかりきっている
この、亀裂は
俺の記憶の亀裂…。
ゴクリッ…。と生唾を飲み込み、窓の外を覗いた
さっきまで真っ青だったイギリスの空は、今は既に茜色に染まっていて綺麗にグラデーションしていた
…確か、あれは6時からだった
ポツリポツリ、と8月20日の予定を思い出す
この日は、
大事な日だったんだ
幼かったこの頃の俺には、あまりその大事な意味が解らなかったが。とても、大事な日だったんだ今日は…。
「Crownの次期後継者の発表の日…―――。」
8月20は、今の社長の後を継ぐ後継者の発表の日だったんだ。
、
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