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「お前が欲しいのは…。」
俺が口を開く度に風が迫ってくる。その風は確実に俺に向かって吹いてきていて、暴風と言ってもおかしくはない。普通ならば、その風を避けるんだが今回は避けないでいる
そしてその暴風が俺の目の前にきたとき、俺は悪戯っ子のように笑い口を開いた
…髑髏。
お前が欲しいのは
俺でも会社でも家でもない
ただお前は
俺との…。
「―――記憶が、欲しいんだろ」
今言った言葉は自信を持って言える。どこからか情報をもらった訳じゃない。誰かから聞いた訳でもない。その『記憶』という単語は俺自身の『記憶』の中から導き出した
俺がついこの間、眠っている時に旭が見せてくれた俺の『記憶』だ。そこで俺は髑髏がなにをしたいのかが判った。そのことはきっと狼も判っている筈だ
狼も幼い俺との『記憶』があるから、髑髏の考えていることも、なにを目的として俺を狙っているのかも知っているに違いない
「はっ、『記憶』だと?」
「そうだよ。『記憶』だ」
今は俺の目の前にいる髑髏。鼻と鼻がくっつきそうな距離まで髑髏は迫っていた
俺と対になる場所にいた髑髏は、物凄いスピードで地面を蹴り、修の横を通り過ぎて俺の目の前に現れた
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