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「いやだ…。」
「来る、なよ…‥」
「来るな。来るな。来るな。来るな」
もう訳が判らないといった表情で言葉を吐いている髑髏。なにかを恐れているかのように、頭を両手で押さえつけ、まるで幼い子供が話しを聞きたくないというみたいに頭を振る
倉庫の中は静まり返っていた。いや誰も髑髏以外は声を出そうとしなかった。修は遠くでこちらを凝視している。倉庫の中に溢れるほどいた髑髏の手下達は、主人の変化に唖然とする者と白目を向いて伸びている奴らだった
そして俺は頭上で子供のように取り乱している髑髏を、下から静かに眺めていた
「なんでっ。なんでだよッ」
「来るなよっ!来んなよッ!!」
まるで張り詰めていた髑髏の感情の細糸が、プツリと切れたみたいに激しく乱れる髑髏。困惑、憎悪、哀しみ、怒り、喜怒哀楽が一度に表へ出たような顔をしている
そして暫くして途端に髑髏の声が止まった。下から見る髑髏の表情は暗く、なにを考えているかは判らない
「……そうだよ。」
ポツリポツリと再び言葉を吐き出す髑髏。その中には哀しみも怒りも笑いも含まれていて、異様な空気を纏い始めている
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