紅蓮15

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「そうだよ。僕が髑髏だよ」 「君の母親を殺した奴の、息子。成瀬 恭だよ」 「陽斗君」 なにかが吹っ切れたのか恍惚とした表情を浮かべる恭。しかし表情の裏には計りしれない感情が渦巻いている。そして、その感情を宿す瞳も死んだ魚の眼をしていた …いや、死んだ大蛇の眼だ もはや、そこに立っているのは俺が知っている恭じゃない。獲物を喰らう大蛇と化した、正真正銘の髑髏。大蛇は骸骨さえも喰らい、この場にいる全ての獲物(もの)を喰らわない限り、狩りを止めないだろう 例え、そうしたのが俺だとしとも悪いとは思っていない。しかし反省していないとは言えない こうでもしないと、俺は髑髏と恭と自分と向き合えない 正面切って、喧嘩が出来ないんだ 「喧嘩するためなら、俺はなんだってやるさ」 「殴られようが、蹴られようが、刺されようが、お前と喧嘩してやる」 頭上にいる大蛇に言葉を吐き投げる。そして今まで恭に散々やられた、ボロ雑巾の体を無理矢理、起こし始める バキッとどこかしらの骨がなり、激痛が脳天まで走るが無視して起き上がる。フラフラで使えもしない足に強烈な鞭を打ち、なんとか2本の足で立てるようにする 、
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