紅蓮15

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「―――恭ッ」 そう呼んでも相手には届かないことは判っている。だけど呼ばずにはいられない。聞きたいことは山ほどある。言いたいことも山ほどあるが今は、その名前を呼びたいと思った 「っ…。恭」 「―――かはっ」 「恭…。」 「ぅぐッ…。」 狭くなっている視界の中で、髑髏だけを視界の中心にいれ体を動かす。血が流れるのも気にせずに、腕を振り足も振る。ありったけの力を出して、振るのに効果はあまりない。もう何十人と倒したのに、まだ群がってくる …ヤバイ。意識がなくなっていく 目の前に白い霧が見えはじめ、ボロボロの足が自分の体を支えられなくなる。その際も髑髏の手下達からの攻撃は止まず、絶えず俺を痛めつける 「―――死ねぇ!」 ――――ドゴッ 「……ぐッ」 横から前から後ろから蹴られ殴られ、限界ギリギリだった足が膝をついた。そうすれば鳩尾に爪先が入り、後ろから頭を打たれる。遠い所から修が叫んでいるけど、意識が遠退き始めた俺には何を言っているか判らない 前髪を掴まれ鋭い蹴りが鳩尾に入る。重い衝撃で胃の中が逆流するが、口から吐き出されるのは血と掠れた声だけ。そして俺の意識が完全に消えそうな時、修の叫び声がまた響く 「陽斗っ!」 消えそうな意識がその呼び声によって一時的に繋ぎ止められる。繋がった意識と共に、後ろから気配を感じで振り返れば鉄パイプを振り上げている男 、
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