4553人が本棚に入れています
本棚に追加
/645ページ
瞼を上げればボロボロの俺をたった一本の腕で支える男がいた。そしてもう一本の腕は、俺に当たる筈だった鉄パイプを素手で掴んでいて、固い鉄が莫大な圧力によって変形していた
「お前…。本当に、タイミング良すぎるよ…。」
「昔からタイミングはいい方でな」
「なにそれ…。」
俺を支える男に少し嫌味を言えば、自慢となって返ってくる。けど本当にタイミングが良くて助かった
「とりあえず、助かったよ。狼」
「そうだな」
漆黒の狼の腕を借りながら、立ち上がる。俺の腰に回った腕は熱くて、チラリと狼の顔を見れば走ってきたかのように少し汗をかいていた
俺の為に汗かいたのかな?なんて今思うのは、よろしくないと判っているが自然と口角が上がってしまう
「…陽斗。状況を考えろ」
でも狼には俺がなにに対してニヤついているのかが、完璧にわかるようで呆れ声で言われてしまい反省する。確かに狼の言う通り、鉄パイプは避けたけどさっきまでの状況はなんら変わらない
狼と俺は髑髏の手下達の中心にいる。逃げようと思えば四方から飛んでくるし、向かえ打つと言っても、意識が飛びかけた俺がいたら狼に負担がかかる
、
最初のコメントを投稿しよう!