devour man memory

日常、繰り返し

｢なんで、どうしてそんなに｣

少女はベットで眠る女に、優しい視線を注いでいる人物を見つめる。

その眉間には皺が寄っていて、大きな瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうだった。

｢どうしてそんなに、一生懸命になれるんですの？｣

何も知らない女は、無垢な顔で静かに寝息をたてている。

その顔を少女は睨んだ。

｢私は、流希様の苦しむ顔など見たくはございません｣

影は弱々しく微笑む。

｢でも、彼女には生きていて欲しい。私はどれだけ傷つけられても構わないから｣

｢そんなっ｣

いい加減やめて、そう言って泣きつきたい。

そんな女のために愛しい人の人生を目茶苦茶にしてほしくなかった。

でも、どんなに思っても少女はそれを口に出来ない。

だから、労りの言葉を毎回使ってしまう。

｢忘れない日が、早くくるといいですわね｣

その少女の引き攣った微笑に気付いてか気付かないでか、影は有難う、と憂いを帯びた表情で微笑んだ。