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真人が小崎に会ったのは、二年前だった。真人のマネージャーを希望する者は、必ずと言っていい程、女だった。真人は色々な人に手を出すが、マネージャーだけは手を出さなかった。真人の恋人にでもなれると、思っていたのか、想像してた世界とは違い、女達は辞めていった。見かねた社長が、社長の姪である小崎を薦めたのである。
初めてみた小崎は、今とは違いもっと女らしさが無かった。格好は必ずジーンズに、何のキャラか分からない絵がプリントされているTシャツ。そして、ボサボサの頭に瓶底のような眼鏡に、前髪で顔なんて見えなかった。あまり喋らず、小声で用件だけ真人に伝えるだけだった。ファンの子からは、「真人のマネージャーを辞めろ!!ダサ子」などと、脅迫の手紙が何通も届いた。それを見かねた真人が、小崎にスーツで仕事に来るように言って、今の小崎になったのである。
最近では容姿も変わり、性格までもが変わったのか
「女遊びは程々にして下さい!!」
と、怒鳴るようになったのだ。だが未だに、小崎の顔を見たことがない真人だが、心の中では
「どうせ下の下だな」
と鼻で笑っている。小崎の叔父にあたる社長に、一度小崎の顔について聞いたことあるが
「花ちゃん(小崎の下の名前)は、とっても綺麗な目をしてて、色が雪のように白くて、形のいい唇をしてて可愛いよ~」
何かを思い出しながら言う社長を見て、苦笑いをしたのを真人は覚えている。
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