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3分……いや、1分だったかもしれない。うずくまっている小崎の肩を、真人はトントンと叩いた。
「大丈夫か?」
心配そうに小崎の顔を見る真人は、顔に傷一つ付いてなくて、真人の後ろに見えるのは、さっきまで小崎の車を蹴っていた男達だった。小崎の視力は、かなり悪い。なので、男達の塊が黒い物体にしか見えないのだ。
「何で人があんな物体になるんですか!!!!」
「…はぁ。お前バカだよな…。どこをどう見て、物体に見えるのか分からないが、ただ伸びてるだけだ。とりあえず、事務所に行くぞ」
「あのっ!!………」
「今度は何だ?」
「…運転出来ないんです」
「分かったから!!俺にそんな顔するな、近付くな、分かったな?」
少し傷ついたような顔をする小崎を、無言で手を掴み強引に後部座席に座らすと、自分は運転席へと周りエンジンをかけた。
「場所…分かるんですか?」
「バカにするな。お前に比べたら、道は大体分かる」
それだけ言うと、アクセルを踏み動き出した。
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