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四月も終わりに差し掛かり、あの時の桜並木も、大分散りかけになった。 我が陸上競技部は、地区総体に向けて、調整を始めていた。 あたし達三年生にとっては、最後となる県総体への第一ステップ。 ここで県へと駒を進められなければ、そこで終わりになってしまう、大切な大会。 「県、行きたいな。」 皆で。そして、もっと先にも。 でも、マネージャーであるあたしは、選手に思いを託すだけ。 連れてって欲しい。 大きな舞台で、皆の姿を、少しでも長く見ていたいから。 そんなことを考えながら、倉庫の整理をしていると、後ろから抱きつかれた。 「うわぁっ!」 「まーことっ!いつまで片付けてるのー?」 振り返ってみると、マネージャー仲間の夕映がいた。 長い黒髪が頬に当たって、少しくすぐったい。 無理矢理体を戻し、彼女から距離をとる。 「もう、しばらく片付けてないからごちゃごちゃじゃない。夕映も手伝ってよね!」 あたしがそう言うと、夕映は、そのパッチリした目を泳がせて見せたが、すぐにいつもの天真爛漫な笑顔に戻った。 「そんな場合じゃないの!アンタの愛しの梓が走ってるよんっ。」 ニヤニヤと、とても楽しそうにあたしに告げる夕映。 反対に、あたしの気持ちは急速に沈んでいった。
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