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諦めたかのような声で手を上げるオレに皆の視線が集まる
な、なんなんだよ…
「じゃあ、お留守番は阿部君に任せましょう!」
皆行くよ!とゆう監督の言葉に全員「ハイッ!」と元気よく声を上げながら合宿所から出ていった
シーンと静まりかえる合宿所内、
オレは一息つくと立ち上がり布団部屋へと足を運んだ
「……まだ寝てるのかよ」
戸をあけて、未だ聞こえる規則正しい寝息に苦笑いを浮かべてしまった
再度三橋の隣に腰かける
子供みてぇな寝顔
長いまつ毛
ピンク色の唇
「寝てる時は可愛いのにな……」
ボソッと呟いた自分の言葉に一瞬動揺した
え?は?
可愛い?……誰が?三橋が?
いやいやいや、三橋はれっきとした男だ
一人で内心パニックになっていると三橋が寝返りをうちこちらに身体をむけて寝ていた
布団、はだけすぎだろ
ため息つきながらはだけた布団を三橋にかけてやる
「……、っ……ん」
「?」
寝言なのか三橋が何か呟いてるのに気づき静かに三橋を見る
「ぁ……、べ…くん、あり…が……、と」
「~ッッ!」
三橋の寝言に思わず目を見開き顔中が熱くなるのを感じた
オレはおかしいっ、オレは変なんだ
寝言で礼を言ってきただけじゃねぇか
頭の中がいっぱいいっぱいになりそうでオレは三橋を起こさないようにでも急いで布団部屋を出て行った
そうだ…三橋が他人に自分の気持ちを素直にみせた事がない
だからまのあたりにされただけだきっと
オレは鳴りやまない鼓動を誤魔化すように結論づけた
すると丁度騒がしい声がオレの耳に入ってきてホッと小さく息を吐いた
「たっだいまぁあ!阿部!三橋は?!」
「ま、まだ寝てる…」
「まぁだ寝てるのかよ!よし、オレ起こしてくる!」
「あ、おいコラッ!まて田島!」
ドタドタと布団部屋へ向かって走って行く田島を泉が追いかけて行ってしまった
三橋の事聞かれて動揺してしまった自分が情けねー
「あ、ただいま阿部」
栄口の声に顔をあげ、お帰りと一言返す
沖と巣山と西広は台所へ買ったモノを直しに行ったらしい
後ろからは疲れきった表情の花井が見えた
「お疲れ、どうしたんだ?花井」
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