風邪

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不思議そうな顔をする稜くん。 あたしはゆっくり口を開いた。 「やだ……」 「ん?」 「離れないで……」 「唯?」 「側にいてよ……稜くん……っ」 そう言うと、稜くんがキスしてきた。 ダメ。 あたし、風邪ひいてるのに。 稜くんにうつっちゃう。 あたしは稜くんの胸を押した。 でも、稜くんは離れるどころかあたしの頭と腰を押さえて更にくっつく。 「んっ!!」 稜くんの舌が入ってきた。 こんな激しいキス、初めて……。 稜くんの唇が離れた。 「はぁ…はぁ……稜く……んっ」 離れたかと思えばまたくっつく。 稜くん。 あたし、怖い。 どんどん稜くんに夢中になってっちゃう。 あたしは稜くんの服を掴んだ。 好き 大好き。 離れたくない…… 何分経ったか分からない。 だけど、ずいぶん長い間キスしてた。 唇が離れると、あたしは息切れしながら下を向いた。 「稜……くん?」 「ん?」 「風邪……うつっちゃうよ?」 「うつせば?」 「え……?」 「唯の風邪なら俺、大歓迎」 そう言って至近距離で微笑む稜くん。 ズルい……。 自分の格好良さ知ってるからそんな事言えるんだ。 .
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