風邪

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あたしは赤い顔のまま、稜くんの顔をチラッと見た。 ズルイよ……。 あたしばっかりドキドキしてるみたい。 いつだって稜くんは余裕なんだ。 「唯」 「え?」 「俺、余裕に見えてる?」 「うん……?」 「そっか」 そう言って稜くんがあたしを押し倒した。 あれ? なんか、稜くんの雰囲気が変わった。 ドキッと心臓が鳴る。 「余裕なんて、ねぇよ……」 「え?」 「唯といると、余裕なんかなくなる。今だって、唯の事めちゃくちゃにしてやりたい気持ちでいっぱいだし」 「稜くん……」 あたしは不安そうに稜くんを見た。 どうしたの? 余裕じゃないって、どういう事? そんな気持ちがグルグル グルグル回ってる。 あたしの顔を見た稜くんが、小さく笑った。 「大丈夫。いくら俺でも、病人襲ったりしねぇよ」 そう言って稜くんがあたしの上からのいた。 そして、ベッドに座ってあたしの頭を撫でた。 「俺、唯の事超大切だから。だから、唯が『いい』って言ってくれるまで待つから」 そう言って微笑む稜くんの手を、あたしは無意識に掴んでいた。 稜くんが、稜くんを掴んでいるあたしの手を見た。 .
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