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そう言って稜くんのいる保健室へ走った。
二人が
「ごめんねって、何がだろう」
「さぁ?」
なんて言ってるなんて知らずに。
保健室に向かう最中
‐ドンッ‐
男の子とぶつかって、あたしは尻餅をついた。
いった……。
腰をさすって気づいた。
目の前で綺麗な顔をした育ちの良さそうな男の子が同じように腰をさすっている。
あたしは慌てて起き上がって男の子に手を差し出した。
「大丈夫ですか!?すいません、ちゃんと見てなかったから……」
「いや、俺も見てなかったから」
そう言ってあたしの手につかまって立ち上がった男の子。
あたしは笑顔を男の子に向けた。
「良かった」
「え?」
「もっと物凄く怒られるのかと思ってましたから、安心しました」
「いや、俺も悪かったし」
「良い人ですね。この学校には良い人がいっぱい」
あたしは笑顔でお辞儀をした。
「ありがとうございました。それでは、あたしは先を急ぎますので」
「ちょっ、君!?」
男の子の言葉も聞かず、あたしは稜くん目掛けて走った。
これからこの男の子が、あたしにどんな影響をもたらすか知らずに……。
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