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朝 玄関を開けると、稜くんが頭を下げていた。
「昨日は本っ当にごめん!!」
あたしは慌てて稜くんに駆け寄った。
「大丈夫だよ、稜くん!!別に怒ってるワケじゃないから!!」
「でも、唯の事ほったらかして1人で帰らせるなんて……。
唯が襲われたらどうするつもりだったんだ、俺……」
「そんな頭下げないで!!あたしだって声かけなかったから悪かったし!!
それに、自分の身は自分で守るから!!稜くんが気にする事じゃないよ!!」
あたしがそう言って笑顔を向けると、稜くんが真剣な顔であたしの手を掴んだ。
稜くん?
首を傾げて稜くんを見ると、稜くんが口を開いた。
「唯の事、ちゃんと守るから」
「え?」
「どんなに遠く離れてても、必ず助けに行くから」
あまりに真剣に言うから、心臓がドキドキいってる。
どうしよう……。
ちゃんと稜くんの目が見れないよ……。
あたしはうつむいて、稜くんの顔を見ないようにした。
でも、そんなあたしを阻止するように稜くんの手があたしの顔に伸びてきた。
稜くんの手によって顔を上げさせられた。
稜くんの顔が近づいてくる。
ドキドキドキドキ、心臓が潰れそう。
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