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降ってきた鉄骨はガンッという音を辺りに響かせる。
輝が出現させた大剣にぶつかりそのまま地面に向かって転がりだした。
剣が支えになっているおかげで坂が出来ていたのだ。
からんからんと耳に響く音がなり終えると輝は腰を抜かしその場に座り込んでしまった。
「たっ…助かったぁ~」
輝の服は完全にびっしょりになり首からはまだ汗が流れていた。
呼吸が落ち着き始めた頃に辺りを見渡す。
黒い鉄骨が一本。
輝の二倍三倍ある物が堕ちている。
しかし何故だろうその鉄骨には誰一人として寄っていない。
その代わり輝の出現させた剣と大剣のそばに明と小梅が興味津々にじっくりと観察していた。
「なっ…なんで驚いていないの?」
輝が剣を出した時も驚くことも一切なく二人とも輝のそばでじっとしていた。
「はっはっ!やっぱり輝は馬鹿だな!」
明にそう言われた。
確かにこの三人の中で一番点数も成績も悪いが決しておちこぼれでもない。
「あんな坂だけで衝撃が防げると思う?」
実際あの高さ、重さ、速さからすれば剣が粉々になる可能性もあった、がなっていないことを考えると違う衝撃で少しでも勢いが失われていたことになる。
「いや~それにしても頑丈だな…大剣。傷一つないもん」
導かれるのはこの二人のどちらか、または二人ともが能力者の可能性。
輝の剣を出現させるような特別な何かだ。
クッションになりうる物が出せるか強い衝撃を出せるもの…しかしさっきは音が一度だけガンッというものだけだったからきっとクッションのようなものの出現に違いない。
「ただ…輝…一つ聞きたいことがある…」
いつになく真剣で迷いのないその表情に固唾を飲む音が聞こえた。
「あの女の子…どこ行った?」
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