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「勉強中に寝ちゃったのか…」
輝の通う陽光館学園では翌日、正確には今日実力と題されたテストが行われる。
ちなみに陽光館は僚制を設けており輝も僚に入っているうちの一人。
少し訳ありの人物ばかりいる。
「やべっ、風呂入ってねーや‥」
少し頭をかきながら輝は風呂場へと向かう。
この僚はかなり豪華で風呂、トイレ、キッチンと生活するには申し分ない僚。
しかも訳ありならば仕事を振り分けてあるのをこなせばただで住ませてもらえる、なんとも夢のような僚である。
輝はしかし、っと考え込みながら歩いていた。
さっきの夢について。
確かに"小梅"と叫んでいた。
篠原小梅それが彼女の名前で輝のクラスメイト、身長は輝が小さいせいで同じくらい。
その子を夢で叫んだのであれば不思議に思うのも無理はない。
だが考えながら風呂に入るも何一つ考えつく節が見当たらない。
簡単に体を洗って上がってしまった。
時刻は52分。もうすぐ1時になってしまう。
「飲み物無かったっけ?」
冷蔵庫をあさるも牛乳しか無かった。
「仕方ない」
そうつぶやきコップを取り出して牛乳を注ぐ。
それを一気に飲み干した。
-からん
変な身に覚えのない音が部屋に鳴り響いた。
輝は辺りを見回し、足元を見る。
するとそこには見たこともない、細身だが実に綺麗に磨かれていて輝の顔を反射させるほどの刀身、決して格好いいとは言えない柄の"剣"がそこにはあった。
「何…これ…」
触れるか、触れないかそうこうと迷っているうちに剣が消えてしまった。
「なっなんなんだ?今の…」
驚きに呼吸するのも半信半疑だった輝は喉の渇きと気持ちを整理させるためもう一杯飲むことにした。
頭からはさっきの剣が離れない。
-からん
部屋にまた音が鳴り響いた。
輝の足元には同じ剣が落ちていたのだった。
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