水浸しの男

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谷口直紀は誰もが認める釣り好きな大学生だった。 時間さえあれば釣りの話をし、授業のノートの脇に次に釣る魚の仕掛けや作戦など書いている。 これまでに釣った魚は数知れず、直紀の部屋は魚拓で埋めつくされていた。 大学では釣りサークルに所属しており、授業が終わるとサークルメンバーが集まり釣りの話をし、和気藹々と盛り上がっていた。                 あの出来事が起こるまでは…             夏休みに入り、直紀達は次の釣り場の事を話し合うため集合していた。         「みんな、次は雨宮港にいってみないか!?」         直紀がメンバーに言う。 メンバー達は首を傾げる。         「確かにあそこはいい場所だが釣るのは難しいぞ…」           雨宮港とはこの辺りでは大物が釣れる場所として有名だ。 しかし潮の流れが悪い時が多く、大物を釣るのは安易な事ではない。
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