蝋燭

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再び自分の部屋に入り、布団に潜りこむ。 しかし、祐樹の恐怖心はどんどん増えるばかりだ。 祐樹の願いも虚しく、嵐はさらに強くなっていた。           「もう嫌だ…」 祐樹の目からは大粒の涙がいくつも零れていた。 その時…             ガチャ…         部屋のドアノブを誰かが回した 辺りは嵐で音がうるさかったが、なぜかその音だけはっきりと聞こえた。         「お父さんお母さん!?」 祐樹は布団から顔を出した。           ギイィィィ…         扉がゆっくりと開いた。 始めに目に飛び込んで来たのは蝋燭(ろうそく)の明かりだった。 そして、それをもつ一人の大人とその後ろにもう一人大人がいた。 顔は薄暗くてよく見えなかったが、大人が二人部屋に入って来たのは確かだった。
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