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反町家のパソコンは二階の書斎にあった。
滑り込むように父親の部屋にはいると、部屋の隅に壁にくっつけるようにして配置してあるデスクと、その上にあるパソコンの前に座る。
格別金持ちではない反町家では、パソコンを何台も所有できるわけなく、この少し古い型のデスクトップ型を家族全員で使っていた。
電源を入れて、パソコンを立ち上げる。画面が切り替わるとすぐに自分の環境に入った。
画面上に浮かぶ、小さな砂時計がもどかしい。
それが消えればすぐに、紫苑は迷うこと無くインターネットのアイコンをクリックした。
握り締めていたあの紙を見ながらURLを打ち込む。
Enterキーを押すときは、流石に手が震えた。
カチッ
音がして、その途端
「うわっ……えっ?!」
画面がブラックアウトした。
「う、ぇえっ、ちょっ……壊れた?!」
焦る紫苑は躊躇いがちにパソコン上部を叩く。
しかし画面は黒一色のままだ。
「嘘だろ……どうしようこれ………」
頭を抱える紫苑の目の前で、黒い画面上に白い文字が浮かび上がってきた。
ひとしきりショックを受けていた紫苑も、顔をあげてそれに気づく。
「あ……壊れてない…?」
喜びもつかの間、浮かび上がってきた文字を見て慌ててキーボードに手を伸ばす。
【ID・パスワードを入力してください】
再び紙を見て、正確にそれを打ち込んだ。
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