悩める少年① 反町紫苑の場合

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Enterキーを押した瞬間、画面がぱっ、と明るくなった。 そして突然、人間の顔のドアップ。 「わっ!!」 唐突なその登場に紫苑は思わず仰け反る。 外人なのだろうか。青い澄んだ目に栗色の髪をしている。 こういうのを美少年と言うのだろうか、そんな出で立ちだった。 但し、やけにテンションが高い。 驚いている紫苑の目の前で、その美少年は熱烈なウインクを画面の外に向かって贈ると、突然喋りだした。 「Welcome!!ヨウコソ!!!明時学園ヘ!!」 「わ―――!!!でかいでかいでかいっ!!」 音量が凄まじい。 紫苑は耳を塞ぐと慌ててスピーカーのボリュームをぐいっと下げた。 「何だよこれ……」 戸惑う紫苑。そして画面の中の男は今だ喋り続けている。 「……ナ君ニ会エテ嬉シイヨ!!僕ハ明時学園、来年度生徒会長ノ浜崎ジェデルエ、ダヨ!!サァ!!僕ト一緒ニ素晴ラシイ学校ヲ作」 カチッ 画面右端にあるskipボタンに気づいた紫苑はそれを押す。 生徒会長浜崎ジェデルエの声はブチリと途切れ、再び静寂が戻ってきた。 「はぁあ……ビックリした…」 ホッと息をついて画面に目をやれば、学校紹介の様なページが広がっていた。 「す……ご」 このページの『明時学園』は、先程のつまらないパンフレットの中身とは180度違っていた。  
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