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Enterキーを押した瞬間、画面がぱっ、と明るくなった。
そして突然、人間の顔のドアップ。
「わっ!!」
唐突なその登場に紫苑は思わず仰け反る。
外人なのだろうか。青い澄んだ目に栗色の髪をしている。
こういうのを美少年と言うのだろうか、そんな出で立ちだった。
但し、やけにテンションが高い。
驚いている紫苑の目の前で、その美少年は熱烈なウインクを画面の外に向かって贈ると、突然喋りだした。
「Welcome!!ヨウコソ!!!明時学園ヘ!!」
「わ―――!!!でかいでかいでかいっ!!」
音量が凄まじい。
紫苑は耳を塞ぐと慌ててスピーカーのボリュームをぐいっと下げた。
「何だよこれ……」
戸惑う紫苑。そして画面の中の男は今だ喋り続けている。
「……ナ君ニ会エテ嬉シイヨ!!僕ハ明時学園、来年度生徒会長ノ浜崎ジェデルエ、ダヨ!!サァ!!僕ト一緒ニ素晴ラシイ学校ヲ作」
カチッ
画面右端にあるskipボタンに気づいた紫苑はそれを押す。
生徒会長浜崎ジェデルエの声はブチリと途切れ、再び静寂が戻ってきた。
「はぁあ……ビックリした…」
ホッと息をついて画面に目をやれば、学校紹介の様なページが広がっていた。
「す……ご」
このページの『明時学園』は、先程のつまらないパンフレットの中身とは180度違っていた。
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