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「っしゃあ!!」
いきなり声を上げた秋を見上げて、紫苑はどうしたの、と声をかける。
「どうしたも何も……明日からゴールデンウィークだぜ?紫苑!」
「テンション高いね」
「当たり前だ!!よし、休みを利用してどこかにナンパしにい……」
「遠慮しとく」
いくら秋と一緒だとしても、ナンパはごめんだ、と紫苑は思う。
背が高く顔も結構整っている秋は、学校でもそれなりにモテる。
何人かの女子に告られたと聞くが、彼が彼女を作ったことは一度もない。
それについては、ズバリこうだそうだ。
「俺は全ての女が好きだ!!」
健全な中学生が吐く台詞ではないとつくづく思う紫苑だ。
そんな秋と一緒にナンパなんて行ったら、恥ずかしくて仕方ない。
「ちぇー……じゃ、さ、今日放課後にどっかいかね?ゲーセンとか。ナンパは無し!」
意気揚々と言う秋に、しょうがないなぁいいよ、と言いかけた紫苑は、ふと再び明時学園ホームページを思い出す。
昨日、さんざんホームページを見た後に、そろそろパソコンを閉じようかと思ったとき。
ある項目に、『明時学園に入学されたい方へ』というものを見つけ、思わずクリックした。
またあの変な外人生徒会長が出てきはしないだろうかと少し身を引いて構えたがそんなことはなく、変わりに文字が二行だけ書いてあるページに飛んだ。
【明日、4時30分に××駅の〇〇〇で面接を行います】
明日、つまり今日、明時学園の関係者と面接をするらしい。
ちなみに〇〇〇と言うのは全国にあるファーストフードのチェーン店だ。
そんなところで良いのかと思いつつも、紫苑は行ってみようと決心したのだった。
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