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†††
「ホームページを見てくれたんだね」
目の前に座る灰王空が、フフッと笑ってストローの袋をピリッと破いた。
「は、はい」
紫苑は控え目に頷くと、ポテトを一つ摘まんで口の中に放った。
彼は、そう言う風に軽く笑うのが癖のようだ。
その度に、鳩尾付近がヒヤリとするので、出来ることなら止めて欲しいのだが。
しかし、そんなことを言える立場ではない。
(空の威圧感によって)半ば押し込められるように店の中に入った紫苑は、「何か注文しない?」と朗らかに言われ、ポテトを頼む羽目になった。
因みに空が頼んだのはシェイクのストロベリー味だ。
その意外性に驚きつつも、紫苑はまだまだ警戒心を解けない。
空がストローを差して、シェイクを飲み始める。
その一連の動作を眺めていると、空がストローから口を離し、こちらを見てきた。
「あはは、そんな怖い顔をしなくても。僕は君を今すぐ取って食おうとはしていないよ」
「あ、え、すみません」
何故か謝る格好になった紫苑を尻目に、空は、でもまぁ、と言葉を紡いだ。
「それが普通の反応なのかな。だって僕たち、さっき会ったばかりなんだもんね?僕の周りは今のところ、変人しか居ないから、ちょっと感覚が変になっていたよ。そうだね、紫苑君。君の反応は普通だ」
さっき会った人、だけならここまで怯えない、と紫苑が思っていると、空は突然楽しそうに喋り始めた。
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