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反町紫苑は、自宅のリビングで真剣に悩んでいた。
彼が座っているのは、購入から8年が過ぎた少しくたびれたソファ。目の前にしているテーブルも、何処にでもある、ありふれた物だ。
そんなありふれたテーブルに一つ。異質なもの、つまり彼が「何じゃこりゃ」と思うような物が置いてあった。
多分今の時期、全国の中学三年生がこれを持っているだろう。
しかしこれに対する気持ちの持ちようは、個人個人で違うだろうけれども。
とにかく紫苑はこれに対して、ソファに座り両手を太股の下に敷いて固まってしまうほどの緊張感を持っていた。
それは、つい一時間前ぐらいにクラスの担任から配られた、『進路志望用紙』だった。
今はまだゴールデンウィークを2日後に控えた4月の下旬で、紫苑はついこの間中学三年生に進学したばかりだった。
それなのにもう、と紫苑は焦る。
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