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中2の中頃から同級生が塾に通い始めるのを見て、高校受験と言うものを頭の何処かでは意識していた。
しかしまだ1年以上も先だし、とそれほど気にもしなかった。
それが今、現実に頭の中心で考えなければならない時期に到達していた。
いつの間にかに。
紫苑は太股に敷かれた右手だけを取り出して、恐る恐るその白い紙を手にとってみた。
「わっかんね」
必ず提出しなければならないその用紙のマスの中にどんな文字が書かれるのか、全く想像できなかった。
「取りあえず親に相談……」
「ひゃー、疲れた!!ちょっと買い物しすぎたわ調子乗って!紫苑手伝って」
突然玄関の扉が開き、スーパーの袋を両手に沢山引っ提げた紫苑母が慌ただしく買い物から帰還した。
紫苑は用紙をテーブルに置くと、玄関で汗だくになりながら靴を脱いでいる母親に近づく。
「もう。いっぺんに買いだめしない、って言ってるのに」
溜め息をつきながら、母の左手から袋を奪う。指にポリエチレンが食い込むほどの重さに、半分呆れ、半分尊敬だ。
「違うって。いや違くないか……でもね、セールだったの。信じられる?ワンコインよ。全部。しょうがないじゃない?ね」
何やら弁解している母親を総無視し、重たい荷物をキッチンに置くと再びリビングのソファに座り込んだ。
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