悩める少年① 反町紫苑の場合

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自分の存在は、どこかふわふわしていて、気を緩めていればすぐにでも周りの喧騒に埋もれていってしまう。 何か飛び抜けているわけではないから、どこかに足を着けるまでもなく流されていってしまう。 もしかしたら、それにさえ気づかないかもしれない。 そんな自分が容易に想像できて、でも少し嫌だった。 今だってそうだ。 これまでに無いほど明白に、自分の人生の岐路に立たされて何かを変えたいと思いつつもどうすれば良いかわからず、結局今まで通り当たり障りの無い道を選ぶのだろう。 これでは駄目だと思っている自分がいる。 変えたいのだと強く願っている自分がいる。 けれども、どうせ駄目なんだろうとどこか冷めてしまった自分もいた。 そんな、心の中にいる沢山の自分 目の前にある封筒を手にしたとき、その全員が感じた何か 胸の疼きとなってシナプスが感じ取った それも、思い過ごしだったと言うことか。 上半身を起こして溜め息を着いた。再び、冷めた自分が権力を持って立ち上がる。 あの用紙には、平凡な自分に似合う学校を3つほど。 投げ出されたパンフレットを再び封筒にしまおうとしたとき、何かがもう一枚入っているのに気づいた。 「何だ……?」 紫苑は恐る恐るといった風に封筒に腕を突っ込む。 取り出したのは、たった一枚の紙切れだった。  
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