悩める少年① 反町紫苑の場合

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そこには飾り気の無いゴシック体でこう書かれていた。 【ID 5100006H  パスワード Ajemtw  URL:http//www.ahmtpdj.tlf】 「ID……パスワード……?」 ただの薄っぺらい白のコピー用紙 無機質な黒い文字が佇む 飾り気の無いその様子に、また疼く胸 この一枚が、彼の人生を開かせる。 紫苑は、封筒と分厚いパンフレットに目を向ける。 本当のメインはこの紙切れではないのか? 疼きが、確かなものに変わる。 冷めた自分はどこかへ消えた。 その紙をしっかりと握りしめて その手が少し汗ばんできた頃 紫苑は振り返り、パソコンのある父親の部屋へ行くために自分の部屋の扉を開けた。  
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