第五章 殺害動機

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   富永に確認をしたところで、酒出は出されていたお茶で喉を潤した。  そして、松本に耳打ちする。  松本は、それに頷くと酒出の説明を引き継いで、遺体発見後の捜査の流れについて説明した。 「警察としては、松島 美和さんとその関係者に重点を置いて、捜査を進めていきましたが身寄りの無い美和さん、本人は失踪していましたので捜査は難航しました」  同時に殺害当日の野口の足取りも、捜査していたと松本は付け加えた。  足取りに関しても、まったく掴めずに警察はかなり苦戦した。 「富永さんは、その日の昼に野口さんと食事したんですよね?」 「えぇ、打ち合わせをしながら遅めの昼食を取りました」  その打ち合わせは、午後2時過ぎに終了した。そこからの足取りが、掴めず翌朝の遺体発見まで空白の時間が存在した。 「そこで、目撃情報がもたらされた」  急に、酒出が口を挟んだ。  深夜とも言える時間帯に、京成線勝田台駅近くの路上で、野口と女性が言い争いをしていたと通報が入った。  女性は大槻 有実。
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