第三章 殺害動機

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  「ホシは、ヒヨコの彼女を隠れ蓑にしようとした。だが、わざと下手な隠し方をしてバレるようにした」 「そうですね、毛髪をポケットに入れたりして」  酒出が、右手をこめかみに持っていく。  ルーティーンを始めて、ブツブツと毛髪が採取された事による、犯人のメリット呟いてみた。 「目眩ましと、時間稼ぎか……」  捜査の目が有実に行く事で、警察を撹乱し時間を稼ぐ事が出来た。  松島 美和に関わる人間が犯人として、時間を稼いだ事で美和と関わる証拠なりを、隠滅したかもしれない。  それならば、作戦は成功だ。 「もしかしたら、松島 美和ですら隠れ蓑なのかもしれねぇな」 「そんな……」  酒出は、ルーティーンを続ける。  松本は、その言葉の真意を探る為に酒出の横顔を見つめるが、つい見とれてしまいそうになり、真意を探るどころではなかった。  酒出は、独り言のように話しを続ける。 「松島 美和の事が警察に知れるのを想定し、隠れ蓑をもうひとつ用意した」 「それが、有実さん」
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