第三章 殺害動機

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  「あぁ、ヒヨコの彼女が事件に関わらせる事で、松島 美和への捜査が遅れれば、警察が真相に辿り着く頃にはズラかる事が出来る」 「だったら何故、有実さんは選ばれたのでしょう? それに、毛髪はどこで手に入れたんでしょう」 「菊乃ちゃん。そっちに気を向けたら、ホシの思うつぼだ」  松本の疑問は、必ずクリアしなければならない事だ。  しかし、酒出はそれを自分達が調べる事により、犯人に辿り着く時間が更に遅くなる事を危惧した。  酒出のルーティーンは更に続く。  自分が寝ている間に酒出と松本が、そんな話しをしていたとは夢にも思わず、肩にしなだれかかる有実を起こさずように体勢を変えた。  有実は、カウンターに突っ伏しても起きる気配がない。 「あっ、メールが来てる」  未だはっきりしない意識の中、メールを確認した酒口は瞬時に青ざめた。  そして、姿の見えない酒出を探す。 「どこに行ったんだよ……」  以前にも酒出は、このような時に姿を消して何かの段取りをしたりしていた。
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