第三章 殺害動機

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           5    野口 久司の生家から発見された遺体は、松島 美和のものと断定された。  発見からすぐに断定されたのは、美和の人間関係や足取りを追う中で、当時通院していた歯科医院が特定できた。  歯科医院から人間関係や足取りは掴めなかったものの、当時のカルテが保存されており歯の治療痕から、美和であると断定された。  地道な捜査が、別の形で実を結んだ。  美和の遺体は、腐乱が進み一部白骨化していたが胸部に刺し傷の痕跡があり、刃物による刺殺と断定された。  歯の治療痕で身元を断定した経緯には、発見された遺体からは身元を示す物が、発見されなかったからだった。  警察としては、最初から美和だろうと予測した為、素早い断定へと繋がったのだ。 「これが別人の遺体だったらと思うと、ゾッとしますな」 「そうでしょうか。身元の断定だけを見ればそうですが、別人の遺体だったなら事件は急速に解決に向かったかもしれません」 「警視、そのような発言は如何かと……」 「失礼。これは、不謹慎でしたね」
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