第三章 殺害動機

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   遺留品の報告に来たのは、千葉北警察の北方刑事で柿崎とは見知った顔だが、直接報告に来た辺りに何かの意味を感じる。  その遺留品は科捜研に送られ鑑定中で、北方の手には現物では無く写真が握られていた。 「ハンカチ、ですね。しかも、男物」 「えぇ、こいつには血痕が付着してまして、恐らくはガイシャを刺したナイフの血痕を、これで拭ったのではないかと」 「それで、凶器は?」 「それは、まだ……」 「おかしいですね。ハンカチだけが出て、凶器が出ないとは……」 「えぇ、それで野口の自宅の方の家宅捜索を再度出来ないかと思い、こうして直接報告に来ました」  柿崎が、言葉を止めて考える。  野口の自宅マンションの家宅捜索は、遺体発見後既にに行われているが、それはあくまで犯人を指し示すような書類等を捜索したが、殺人事件に用いられた凶器を捜索とは頭に無かった。  心理的な思い込みから、漏れがあったかもしれない。 「確か、野口の自宅マンションは幕張でしたね?」 「はい、所轄は千葉西です」
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