第四章 人間関係

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           1    千葉県船橋市。  今回の事件には全く関係の無い土地でありがら、酒出、酒口、松本の3名はこの地にいる。  日々発展し変化している駅の周辺だが、裏通りや路地裏には昔ながらの飲食店や、老舗と呼ばれる店が地元の人間に愛されている。  そんな路地裏にあるサウナの食事コーナーで、3人は鯵フライ定食を前にくつろいでいた。  正確に言えばくつろいでいるのは酒出のみで、他の2人は居心地が悪そうに仕方無く鯵フライを堪能している。  その鯵フライが絶妙に美味い為に、文句を言う気も失せていた。 「相変わらず、美味いですね」 「事件の最中じゃなきゃ、もっと味わえるのにね」  酒口と松本の2人が若干の酔いを引きずりながら、鯵フライを楽しむ環境に嘆いている中、酒出は迎え酒とばかりに生ビールを煽る。  これが夕方前だと言うから、2人が辟易するのだ。  このサウナの食事コーナーで、3人が顔を付き合わせるのは初めてでは無い。昨年末の狂言誘拐事件の際にも、こうして鯵フライ定食を食べた。
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