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有実を痴漢した人間が、ストーカーではないかと酒口も考えた。
だが、有実自身がストーカーを認識出来る程の被害を受けていなければ、怪しい人物を目撃もしていない。
同一人物かどうか以前の問題である。
「ストーカーねぇ……」
「酒出さん?」
「まぁ、いい。そうだな、事件の話しでもするかな」
それを聞いて、酒口を大学ノートを開き酒出の言葉の続きを待つ。
酒出が右手をこめかみに持っていく。
「今回の事件には、不自然な点が解消されなすぎて、事実が見えて来ねぇんだよな」
「不自然な点、野口の足取りですか?」
「それも、ある。だが今一番気になるのは、野口についてなんだ」
「野口の何がですか?」
この段階で、野口の生家で松島 美和の遺体が発見されている事は、3人も認知している。「野口」と呼んでいるのも、被害者ではなく容疑者として呼んでいる。
だからこそ、酒出も野口が気になるのだろう。
「何故、野口はテレビ局内で事件を起こしたのか」
「そこですか?」
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