第四章 人間関係

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   有実を痴漢した人間が、ストーカーではないかと酒口も考えた。  だが、有実自身がストーカーを認識出来る程の被害を受けていなければ、怪しい人物を目撃もしていない。  同一人物かどうか以前の問題である。 「ストーカーねぇ……」 「酒出さん?」 「まぁ、いい。そうだな、事件の話しでもするかな」  それを聞いて、酒口を大学ノートを開き酒出の言葉の続きを待つ。  酒出が右手をこめかみに持っていく。 「今回の事件には、不自然な点が解消されなすぎて、事実が見えて来ねぇんだよな」 「不自然な点、野口の足取りですか?」 「それも、ある。だが今一番気になるのは、野口についてなんだ」 「野口の何がですか?」  この段階で、野口の生家で松島 美和の遺体が発見されている事は、3人も認知している。「野口」と呼んでいるのも、被害者ではなく容疑者として呼んでいる。  だからこそ、酒出も野口が気になるのだろう。 「何故、野口はテレビ局内で事件を起こしたのか」 「そこですか?」
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