第四章 人間関係

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   酒口がお笑い芸人のような突っ込みを入れるが、酒出は気にも止める様子は無い。  そして、松本が答えを出す。 「考えられるのは、衝動的にという事ではないでしょうか」 「衝動的にな。齢50を越えるオッサンが、人生を棒に振るような事を衝動的にやるかい?」  酒出は、自分が正に齢50を越えるオッサンだけに、その言葉に重みを加えていた。  松本は、改めて考える。  確かに、情報を発信するテレビ局という場所でレイプ事件を起こせば、間違いなく日本中にその事実が知れ渡り人生が終わってしまう。  ある程度は口止め出来ても、人の出入りが激しいテレビ局では完全にそれをするのは、まず不可能だと言える。  だが、不可能では無かった。 「野口は情報が漏れない手段を、知っていたって事ですか?」 「それなら欲望のままに行動しても、先のリスクを回避できるからな」 「まさか、プロダクションが松島 美和を野口に差し出したんですか?」 「菊乃ちゃん、ずいぶんと過激な事を考えるな。だが、俺が考えてるのは別の事だ」
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