プロローグ

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   千葉県千葉市中央区、JR千葉駅から東京都内に向かう総武線は、千葉市内から習志野市、船橋市、市川市を通過し江戸川区に入る。  その沿線にある鉄道警察の捜査員は、ある一人の男に頭を悩ませていた。  その男は、県内の総武線以外にも私鉄各線にて、痴漢行為を行っている。  痴漢行為は現行犯でなければ特定しづらく、被害者の多数は大人しそうな女性が狙われるケースが多いので、泣き寝入りされる事で事件が発覚しない。  例に漏れず、その男もそんな女性を対象にしていた。  その男が、未だ逮捕に至らず捜査員に目を着けられているのは、数件の通報があったからだ。  その通報によると、男は騒ごうとした女性に対し金を渡した上、痴漢裁判における女性が受ける精神的なダメージを囁いたと言う。  それが、多路線に渡り通報された。  通報してきたのは、おそらくその様子を見掛けた正義感の強い男性だったが、女性からの被害届は一件も無い。    ただ、数件の通報の内容が酷似する為、同一犯による犯行だと鉄道警察では判断し動き始めた。
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