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スキップをしながら森の中を歩く赤頭巾ちゃん。
「チョコー、チョコチョコー、チロルチョコー!」
どうやら、さっき薬屋さんのおじちゃんにもらったチョコレートを頬張っているようです。
「あ、やべ。あと一個だ」
一気に二つも頬張るからですよ。
「あ、やべ。これ、溶けかけてる」
手でしっかりと握り過ぎですよ。
「あ、やべ。道、間違えた」
…おい!
しっかりしろよ、主人公!
「可愛い可愛いお嬢さん。道をお間違えになったお嬢さん。よろしければこの僕が「断る」
間髪入れずに否定する赤頭巾ちゃん。
「…そんな悲しいこと、言わないで「断る」
話しかけた者の姿さえ見ようとしない赤頭巾ちゃん。
「僕ならどの道に行けば「断る」
徹底的に否定し、無視を続ける赤頭巾ちゃん。
「…僕はただ「断るって言ってるでしょ!?」
あぁ、そんな否定し続けたら…
「…道を教えてあげようと思っただけなのに…」
…拗ねちゃったじゃないですか。
「そうですよね…所詮、狼の言うことなんて、誰も聞くはずありませんものね…少しでも他人に優しくしようと思った僕が馬鹿でした…やっぱり人間と狼は相容れない存在なんですね…あぁ、こうやって人間不信に陥るんですね…」
「…」
赤頭巾ちゃんに話しかけた狼から、どんよりとした暗いオーラが立ち上っています。
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