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そうこうしているうちに薬屋さんに着きました。
「おじちゃーん、いつもの風邪薬ちょうだーい♪♪」
「あいよっ、ちょっと待ってな、赤頭巾ちゃんっ」
威勢のいいおじちゃんが店の奥から出てきました。
「はい、いつもの風邪薬ねっ。またお婆さんにお見舞いかいっ?偉いねぇ~」
「えへへー♪♪」
褒められた赤頭巾ちゃんはちょっと嬉しそうです。
…さっきまで「めんどい」って言ってた子と同一人物だとは思えないぐらいの可愛さです。
「よっしゃ、おじちゃんが毎週頑張ってる赤頭巾ちゃんにご褒美をあげるわっ」
そう言っておじちゃんはチロルチョコを三個程赤頭巾ちゃんに手渡しました。
「(ちっ、三個だけかよ…)ありがとうおじちゃん。大切に食べるね♪♪」
「おうよ。頑張って行ってきなっ」
どうやらおじちゃんには赤頭巾ちゃんの文句が聞こえなかったらしい。
「あぁ、そういえば最近、あの林に狼が出るらしいから、気を付けなよっ、赤頭巾ちゃん」
「はーい」
「じゃあお婆さんに会ったらちゃんと薬を飲ませるんだぞっ」
「はーい」
「信号をよく見て、車には気を付けるんだよっ」
「はーい」
「あとちゃんと林の近くに止まるバスに乗るんだよっ」
「はーい」
「乗り間違えたりすんなよっ」
「(いい加減、うぜぇわ!)はーい、行ってきまーす」
こうして薬屋さんを出る頃には三十分は軽く過ぎていましたとさ。
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