赤頭巾

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「ちっ、時間を無駄にしてしまったわ」 ぶつぶつ文句を言いながらバス停まで歩く赤頭巾ちゃん。 傍から見ると危ない人です。 ですが、赤頭巾ちゃんの可愛さによって危なさが半減しているのか、町の人たちは全然気にしていないようです。 「…やっとバス来た」 バスを待ってる時間は、確実に薬屋さんにいるよりも短いはずですが、今の赤頭巾ちゃんはイライラMAX状態なので、バスに乗り込む時もちょっと…いや、だいぶ不機嫌そうでした。 バスに乗った瞬間、赤頭巾ちゃんは一番後ろの席を陣取りました。 そして窓から見える町並みを眺めながら思います。 (そういえば…最近妙な噂が流れてるのよね…) その妙な噂とは… 『町の外れの林に、人を襲う生き物がいる』 というもの。 その林には、皆さんのご想像通り、お婆さんが住んでいるのです。 (お婆さん、大丈夫かな?) いくらお婆さんの家へ行くのが遠くてめんどくさいとは言え、やはり心配な赤頭巾ちゃん。 こういう他人思いな所が、町の人に好かれているのかも知れません。 「あ、降ります」 バスを降りる直前、 「気を付けてね」 運転手さんが赤頭巾ちゃんに声をかけました。 「ありがとうございます」 そう答えて、林に向かって駆けていったのでした。
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