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「おれと…結婚して下さい」
「…え?」
突然のプロポーズに一瞬女の子の思考が止まってしまう。脱衣所と浴室を仕切る薄いドアを挟んで沈黙の時間が流れる。
男の子の脈が上がり、皮膚を押す心臓がどれほど激しく動いているのかが良くわかる。しかし、それを女の子は見る事ができないのだが…
「おれ、お前が好きだ。好きで好きで、一日も離れて居たくない。毎日一緒に居たいんだ」
「…」
「…返事…聞かせてください」
お互い近くに居るも、ドアを隔てているため、どんな表情をしているのまったく分からない。
男の子は湯船に浸かりながらすでにのぼせそうになっていた。
一方、女の子は…突然の告白に戸惑い、何をどう話せばいいのか分からなくなっていた。
「あっ…あの…私…料理もレパートリーそんな無いし…ミシンも使えないし…人付き合いも苦手だし…アルバイトで貯金も無いし…親戚無駄に多いし…色々上手じゃないし……あの…」
(ああ・・・ダメなのか…)
のぼせそうになった頭で色々考えたが、やはりこれはダメと言う事なんだろうと、男の子は肩を落とした。
「…でも…結婚してくださいって…言葉…ずっと待ってた…」
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