4人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
夕方から今朝までの夜勤が終わり、自分のアパートについたのが午前9:30。
体は疲れているのに頭がハッキリし過ぎて寝ることもできない。最近はいつもこんな感じになってしまい、寝ているのか起きているのかわからないような…ボーっとした時間になりがちだった。
そんな時には決まって電話をする相手がいる。
プルルル プルルル プルルル
『はい、もしもし』
3回目のコールで電話に出た声は可愛らしく、おっとりとした声色で、彼は声を聞くと若干の安らぎを覚えるのだった。
「今夜勤終わったとこ…」
『お疲れ様。今私も電話しようとしてたとこなんだ』
女の子の声は少しうれしそうな、少しホッとしたような、男の子が次に発するであろう言葉に期待をしているようだった。
「…あのさ、今からおれのアパート来れないか?」
少し遠慮がちに尋ねるのには訳があるのだ。
けど、女の子にとっては昨日から会えない寂しさにも似た気持ちがあり、訳や理由があってもそれは少しも気になるところでは無いようだ。
『今から行ってもいい?大丈夫?疲れてない?』
「大丈夫。つーか今から来い…てゆーか来て下さい。会いたくなった」
段々と本音が出てくるいつものやり取りではあるのだが、このいつもが嬉しいと女の子は思える。
『じゃぁ、30分くらいしたら着くから』
「寝ないで待ってるから」
ピッ
時計を見上げると 9:50 今から30分後となれば10:20。
男の子はこの30分を使って着替えをし、部屋を片付けて女の子を待つことにした。
最初のコメントを投稿しよう!